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とにかく快適に入っていられるのだから、体温よりちょッと高い目の三十七八度ぐらいだろうときめていたが、温度計を買ってきて測ってみたら、三十四度五分であった。もっとも、私の平熱は三十五度である。胃に冷感をうけるのは、やっぱり体温よりも低いせいだな、という当然なことが、その時になって、はじめて納得できた始末だが、体温と同じ水温なら入浴は快適だという結論も得たのである。
「いや、そんなこたあ、――そんなこたあしませんよ」
「おい、今高間君が来ていたんだよ」
徳次は一種くさめをする前のやうな、煙けむたげな表情になりながらわき見をしたり、房一を眺めたり、どぎまぎして答へた。
と、下の男は睨み上げた。
と手早く切り上げて、堂本の家を出た。
徳次は人の好い、いかにもさう信じこんだやうな眼で二人を眺めた。
答へながら、彼は紅くなつていた。
「え、何です、前期と後期とをつゞけさまにうかりましたつて。――ふうん、それやえらいもんですな。なかなか、あの検定試験といふやつは、医学校なんかの年限さへ来ればずるずるに医者になつてしまふのとはちがつて、相当な目に合はされますからな」
「この人はちっと眠むがってるでな……」
「まづい、まづい。酒がまづくなる」
徳次は房一が顔を洗ふ間傍に立つて眺めていた。それからふいに訊いた。